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2022年11月07日
DOWAと秋田大学が使用済みリチウムイオン電池からの正極材リサイクルに成功
DOWAエコシステム(株)(同所 資本金:10億円 社長:矢内 康晴)および国立大学法人秋田大学(秋田県秋田市手形学園町 1番1号 学長:山本 文雄、以下、秋田大学)の電動化システム共同研究センター 安部勇輔特任助教、理工学研究科 熊谷誠治教授らの研究グループは、DOWAテクノファンド*を利用した共同研究により、熱処理後の使用済み車載用リチウムイオン電池からの正極材リサイクルに成功しました。
脱炭素社会実現に向けてエネルギーの効率的利用に大きな役割が期待されるリチウムイオン電池(以下、LIB)は、様々な分野で普及が拡大しています。持続可能なサプライチェーン構築のためには、使用済みLIBから再びLIBを製造するリサイクルシステムの構築が必要であり、特に正極材に使用されているレアメタルであるコバルトやニッケルなどのリサイクルが求められています。
DOWAエコシステム(株)と秋田大学は、今後の使用済みLIBリサイクルの拡大に向け、正極材のリサイクルに関する実証的な研究を進めています。今回、熱処理で不活性化した使用済みLIBから回収した、不純物を一定程度含む正極材成分(ブラックマス)を原料として再び正極材を製造しました。その結果、蓄電容量や繰り返し充放電に対する安定性において、市販されている車載用LIBと同等の特性が得られました。
今後は、不純物と電池性能との詳細な関係を明らかにしていくとともに、より効率的に不純物含有量を制御できるプロセスの開発に取り組みます。
本研究成果については、国際電気化学会が刊行する学術誌「Journal of Electroanalytical Chemistry」に10月1日付で掲載されたほか、11月9日に開催される第63回電池討論会においても発表を予定しています。
DOWAグループと秋田大学は、LIBの持続可能なサプライチェーンの構築に向けて、引き続き研究開発に取り組んでいきます。
- *DOWAテクノファンド:
- 大学および公的機関などにおける将来性のある研究や先端技術研究を対象に、DOWAホールディングス(株)が共同研究・共同開発などによる資金および技術的な支援を行い、研究の活性化やレベルアップを図る制度
( http://www.dowa-technofund.jp/jp/)
<参考>
【発表論文】
学術誌名:Journal of Electroanalytical Chemistry (掲載日:2022年10月1日)
件名:Electrochemical performance of LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2 cathode recovered from pyrolysis residue of waste Li-ion batteries
著者:Yusuke Abe, Kensuke Sawa, Masahiro Tomioka, Ryoei Watanabe, Tatsuya Yodose, Seiji Kumagai (責任著者)
DOI:https://doi.org/10.1016/j.jelechem.2022.116761
【研究発表】
会合名:第63回電池討論会
主催者:公益社団法人電気化学会
発表日:2022年11月9日(水)
件名:熱分解したリチウムイオン電池から再生した不純物含有NCM111の電気化学特性
著者:澤 賢佑(発表者)、高橋 瑛斗、安部 勇輔、熊谷 誠治、渡邊 亮栄、淀瀬 達也
DOWAエコシステム(株) 会社概要
本社 | 東京都千代田区外神田四丁目14番1号 |
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代表者 | 矢内 康晴 |
設立 | 2006年10月 |
資本金 | 10億円 |
従業員数 | 約2,600名(DOWAエコシステム連結、2022年3月末時点) |
株主 | DOWAホールディングス(株) 100% |
業務内容 | 環境・リサイクル事業(資源リサイクル、廃棄物処理、土壌浄化、物流、コンサルティング) |
国立大学法人秋田大学 概要
本部 | 秋田県秋田市手形学園町1-1 |
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学長 | 山本 文雄 |
創立 | 1949年5月 |
詳細 | 秋田大学ホームページ |
【本件に関連する過去のプレスリリース】
- 2018年12月17日付 「リチウムイオン電池の受入拡大、安全な処理と効率的な金属リサイクルを両立」
- 2021年4月19日付 「使用済みリチウムイオン電池のリサイクル能力を拡⼤」